特定技能「介護」とは?取得の4つのルート・受入要件・採用費用を解説【2026年版】

特定技能「介護」とは?取得の4つのルート・受入要件・採用費用を解説【2026年版】

特定技能「介護」は介護分野で外国人材を受け入れる在留資格で、2025年4月には訪問系サービスへの従事も解禁されました。夜勤にも対応でき、技能実習修了者をそのまま引き継げるルートもある点が技能実習との大きな違いです。

取得ルートは4種類あり、事業所側にも協議会加入・支援計画策定などの要件があります。採用費用は経路や契約によって異なります。費用対効果を判断するには、制度の全体像を先に押さえておく必要があります。

公開日 2026年4月29日
最終更新日 2026年10月14日

武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ700名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人材の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。

プロフィール詳細

特定技能「介護」とは

特定技能「介護」は、介護現場で即戦力として働ける外国人を受け入れるための在留資格です。2019年4月の入管法改正により創設されました。

介護分野で利用できるのは特定技能1号で、在留期間は原則として通算5年までです。介護分野は特定技能2号の対象外ですが、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ変更すれば、要件を満たす限り更新を続けられ、配偶者・子の家族滞在も認められます。

2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験からは「パート合格制度」も導入されました。通算在留期間の5年目の国家試験で1パート以上に合格し、合格基準点の8割以上を得点することなど、所定の要件を満たす場合に通算在留期間を最大1年延長できる措置があります。

技能実習・EPA・介護ビザとの違い

介護分野では複数の在留資格が活用されています。主な4種類の違いを整理します。

在留資格 在留期間 単独夜勤 訪問介護
特定技能1号 通算5年 可 2025年4月〜可(条件あり)
技能実習(介護) 最長5年 安全確保等の措置が必要 2025年4月〜可(条件あり)
EPA介護福祉士候補者 4年(更新可) 可 限定的
介護(専門的・技術的分野) 無制限 可 可

特定技能は技能実習と異なり、転職が認められています。賃金・職場環境が定着率に直結するため、受け入れ前に労働条件の整備が欠かせません。

制定された背景と現状データ

外国人介護人材の受け入れ状況は、対象の産業・在留資格・基準日を確認して公的統計を参照してください。

介護分野では人材確保が課題となっており、特定技能による受け入れが行われています。

特定技能は一定の技能水準を前提とする制度ですが、採用後も事業所での業務研修と安全確認が必要です。

外国人が取得する4つのルート

特定技能「介護」を取得するルートは4種類あります。採用時は候補者がどのルートで滞在・来日しているかを確認しましょう。

① 介護技能評価試験+日本語試験に合格する

最もオーソドックスなルートです。「介護特定技能評価試験(技能)」「介護特定技能評価試験(日本語)」に加え、「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上」に合格することが必要です。試験免除に該当する場合は、別途その要件を確認します。国内・海外の両方で受験できます。

2026年4月1日から、日本国内で実施される介護技能評価試験の受験料が改定されています。申請前に最新の受験料を公式サイトで確認してください。

② 技能実習2号を修了して移行する

技能実習「介護」2号を良好に修了した場合、試験なしで特定技能1号へ移行できます。すでに施設での実務経験を積んでいるため、受け入れ事業所にとって即戦力性が最も高いルートです。自社の技能実習生をそのまま雇用継続したい場合にも活用できます。

③ 介護福祉士養成施設を修了する

日本国内の介護福祉士養成施設(専門学校など)を修了した場合、試験免除で特定技能1号を取得できます。日本語能力が高く、専門知識を体系的に習得していることが多いため、コミュニケーション面での不安が少ないルートです。

④ EPA介護福祉士候補者として在留する

経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者は、4年間にわたり就労・研修に適切に従事したと認められる場合などに、試験免除で特定技能1号へ移行できます。3年10か月以上の就労・研修を修了した後、直近の国家試験で合格基準点の5割以上の得点があり、すべての試験科目群で得点していることの確認が必要です。EPA候補者はすでに日本の職場に慣れているケースが多く、受け入れ後の立ち上がりが早いのが実態です。

受け入れ事業所が満たすべき要件

特定技能外国人を受け入れるには、事業所側にも複数の条件があります。手続きを始める前に確認しましょう。

対象となる施設・事業所の種類

受け入れが認められているのは、介護保険法に基づく以下の施設・事業所です。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
  • 通所介護・通所リハビリテーション
  • 訪問介護事業所(2025年4月〜、条件あり)
  • その他介護保険法の指定を受けた事業所

病院や診療所にも対象となる施設があります。介護保険法の指定だけで判断せず、厚生労働省の対象施設一覧で確認してください。

1号特定技能外国人支援計画の策定(10項目)

雇用にあたり事業所は、以下10項目の支援を実施する計画を策定する義務があります。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保・生活に必要な契約の支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続等への同行
  6. 日本語学習機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 転職支援(非自発的離職時)
  10. 定期的な面談・行政機関への通報

支援計画の実施を登録支援機関に委託することもできます。自社での対応が難しい場合は登録支援機関の活用を検討してください。

分野別協議会への加入

介護分野では、初めて受け入れる場合も、在留諸申請の前に所管の協議会へ加入し、構成員であることの証明を提出する必要があります。加入後は協議会が定める基準を守り、必要な情報を提供しなければなりません。

また、受け入れ人数の上限は「事業所の日本人介護職員等の総数と同数まで」という同等人数要件があります。たとえば日本人が常勤の介護職員等が20人いれば、特定技能外国人も最大20人まで受け入れられます。

【2025年4月〜】訪問介護が解禁された

2025年4月21日から、一定の要件を満たす特定技能外国人が訪問系サービス(訪問介護・訪問入浴介護など)にも従事できるようになりました。制度が始まって以来、6年越しで実現した業務範囲の拡大です。

解禁の背景と受け入れ条件

介護分野では人材確保が課題となっており、特定技能による受け入れが行われています。

訪問系サービスへの従事にあたっては、本人の研修修了・実務経験と、受入事業所の体制・手続きを確認します。主な確認事項は次のとおりです。実務経験が1年未満の場合には別途条件があるため、厚生労働省の通知・Q&Aで個別に確認してください。

  • 介護職員初任者研修課程等を修了していること
  • 介護事業所等での実務経験が原則1年以上あること
  • 訪問業務の研修、一定期間の同行訓練を行うこと
  • 本人の意向を確認し、キャリアアップ計画を作成すること
  • ハラスメント相談窓口や、不測の事態に対応する連絡・ICT等の環境を整えること
  • 受入事業所が必要な要件書類を事前提出し、当該外国人の適合確認書の発行を受けること

注意点

訪問介護が解禁されたとはいえ、全員が即日対応できるわけではありません。本人の研修修了・実務経験と、受入事業所の体制・適合確認手続きを個別に確認する必要があります。

また利用者側への事前説明と同意取得、緊急時の連絡体制整備など、事業所側の対応も求められます。制度の詳細は厚生労働省の最新ガイドラインを確認してください。

採用の流れと費用の目安

特定技能「介護」の採用は、国内在住者と海外在住者でプロセスが異なります。海外在住者の場合、内定から就労開始まで6か月以上かかるケースもあります。

採用プロセスの流れ

【国内在住者(技能実習修了者など)の場合】

  1. 求人・マッチング(人材紹介会社や求人媒体を活用)
  2. 面接・内定
  3. 在留資格変更申請(処理期間は現行の公式案内で確認)
  4. 変更許可後に就労開始

【海外在住者の場合】

  1. 現地エージェントを通じたマッチング
  2. 面接・内定・雇用契約締結
  3. 在留資格認定証明書の申請(処理期間は現行の公式案内で確認)
  4. 現地でのビザ申請・発給
  5. 入国・就労開始

費用の内訳と目安

費用は採用ルートや支援体制によってかなり開きがあります。1人あたりの目安は以下のとおり。

費用項目 目安金額
紹介料(人材紹介会社) 項目・契約内容に応じて確認
送出手数料(海外エージェント費用) 項目・契約内容に応じて確認
登録支援機関への月額費用 項目・契約内容に応じて確認
住居確保費用(礼金・敷金等) 項目・契約内容に応じて確認
在留資格申請等の書類費用 項目・契約内容に応じて確認

費用は支援内容・人数・対応言語・契約条件によって異なります。初期費用と月額料金、追加費用の内訳を見積もりで確認してください。

メリットと注意点

受け入れ側のメリット

  • 本人の技能や安全確保を確認したうえで夜勤配置を検討できる
  • 介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」へ変更すれば、要件を満たす限り更新を続けられる(特定技能1号は原則通算5年)
  • 技能評価試験合格者も事業所の研修・安全確認を経て業務に配置する
  • 技能実習修了者を試験なしで雇用継続できるルートがある
  • 2025年4月〜は訪問介護にも対応できる(要件を満たす場合)

受け入れ前に確認すべき注意点

  • 転職が可能なため、賃金・労働環境の水準が定着率に直結する
  • 支援計画の義務があるため、技能実習より管理コストが高くなるケースがある
  • 長期就労を目指す場合は、介護福祉士国家試験に合格して在留資格「介護」への変更を検討する(介護分野は特定技能2号の対象外)
  • 受け入れ人数の上限は日本人職員総数と同数まで(同等人数要件)
  • 送出し国によって受け入れに関する二国間協定の遵守義務がある

よくある質問

特定技能「介護」の外国人は夜勤に入れますか?
特定技能1号の外国人は単独での夜勤が可能です。技能実習でも必要な安全措置の下で夜勤は可能です。特定技能は即戦力就労を前提とした設計のため、夜勤を含む通常シフトに組み込めます。
特定技能1号と技能実習、どちらが採用しやすいですか?
手続きの複雑さでいえば、特定技能のほうがシンプルです。技能実習には団体監理型と企業単独型があり、必要な手続きや体制が異なります。自社で技能実習生を育てているなら、そのまま特定技能へ移行するのがいちばん合理的です。
登録支援機関は必ず利用しないといけませんか?
必須ではありません。事業所が自ら支援計画を実施できる体制を整えていれば、登録支援機関を使わずに対応できます。ただし10項目の支援義務を自社でカバーするには要件を満たす支援責任者・支援担当者の選任が必要です。はじめて受け入れる場合は、登録支援機関への委託が現実的な選択肢になります。
2026年に特定技能「介護」で変わったことはありますか?
2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から「パート合格制度」が導入されました。通算在留期間の5年目の国家試験で、1パート以上に合格し、総得点が合格基準点の8割以上であることなどの要件を満たせば、通算在留期間を最大1年延長できる措置があります。第38回試験では52点以上が基準です。学習計画や厚生労働省の確認など、所定の手続きも必要です。試験対策中の特定技能外国人にとって、より安定的な就労継続が可能になっています。
特定技能「介護」は何人まで採用できますか?
事業所で働く日本人介護職員等の総数と同数まで受け入れられます(同等人数要件)。たとえば常勤の日本人介護職員等が20人いれば、特定技能外国人も最大20人まで採用できます。

参考:厚生労働省:介護分野の受入れ

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