特定技能「介護」とは?取得の4つのルート・受入要件・採用費用を解説【2026年版】

特定技能「介護」は2025年10月時点で55,733人が就労する在留資格で、2025年4月には訪問系サービスへの従事も解禁されました。夜勤にも対応でき、技能実習修了者をそのまま引き継げるルートもある点が技能実習との大きな違いです。

取得ルートは4種類あり、事業所側にも協議会加入・支援計画策定などの要件があります。採用初期費用の目安は30〜80万円。費用対効果を判断するには、制度の全体像を先に押さえておく必要があります。

最終更新 2026年4月29日

合同会社エドミール代表社員 武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ600名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人剤の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。 保有有資格:申請等取次者、外国人雇用管理士

プロフィール詳細

特定技能「介護」とは

特定技能「介護」は、介護現場で即戦力として働ける外国人を受け入れるための在留資格です。2019年4月の入管法改正により創設されました。

1号と2号の2段階があります。1号は在留期間が通算5年まで。2号は更新に上限がなく、家族帯同も可能です。ただし介護分野では、2号への移行には介護福祉士の国家資格取得が条件です。

2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験からは「パート合格制度」も導入されました。試験の全科目一括合格に届かなくても、一定の水準を超えれば在留期間を最大1年延長できるようになっています。

技能実習・EPA・介護ビザとの違い

介護分野では複数の在留資格が活用されています。主な4種類の違いを整理します。

在留資格 在留期間 単独夜勤 訪問介護
特定技能1号 通算5年 2025年4月〜可(条件あり)
技能実習(介護) 最長5年 原則不可 不可
EPA介護福祉士候補者 4年(更新可) 限定的
介護(専門的・技術的分野) 無制限

特定技能は技能実習と異なり、転職が認められています。賃金・職場環境が定着率に直結するため、受け入れ前に労働条件の整備が欠かせません。

制定された背景と現状データ

2025年10月末時点で、医療・福祉分野で働く外国人は146,105人(前年比25.6%増)です。そのうち特定技能者は55,733人で、全体の約38%を占めます(厚生労働省「外国人雇用状況届出」2025年10月末)。

厚生労働省の令和6年度調査では、介護事業所の83.4%が「人手不足」と回答しています。2040年には約280万人の介護人材が必要とされる一方、国内供給だけでは大幅な不足が見込まれています。

特定技能「介護」はこの構造的な不足に対応するために創設されました。技能実習のような「育成期間」は想定されておらず、採用後すぐに通常の業務シフトに入れます。

外国人が取得する4つのルート

特定技能「介護」を取得するルートは4種類あります。採用時は候補者がどのルートで滞在・来日しているかを確認しましょう。

① 介護技能評価試験+日本語試験に合格する

最もオーソドックスなルートです。「介護技能評価試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4相当」の両方に合格すれば要件を満たします。国内・海外の両方で受験できます。

2026年4月1日から、日本国内で実施される介護技能評価試験の受験料が改定されています。申請前に最新の受験料を公式サイトで確認してください。

② 技能実習2号を修了して移行する

技能実習「介護」2号を良好に修了した場合、試験なしで特定技能1号へ移行できます。すでに施設での実務経験を積んでいるため、受け入れ事業所にとって即戦力性が最も高いルートです。自社の技能実習生をそのまま雇用継続したい場合にも活用できます。

③ 介護福祉士養成施設を修了する

日本国内の介護福祉士養成施設(専門学校など)を修了した場合、試験免除で特定技能1号を取得できます。日本語能力が高く、専門知識を体系的に習得していることが多いため、コミュニケーション面での不安が少ないルートです。

④ EPA介護福祉士候補者として在留する

経済連携協定(EPA)に基づき来日したインドネシア・フィリピン・ベトナム国籍の介護福祉士候補者は、国家試験不合格でも特定技能1号へ移行できます。EPA候補者はすでに日本の職場に慣れているケースが多く、受け入れ後の立ち上がりが早いのが実態です。

受け入れ事業所が満たすべき要件

特定技能外国人を受け入れるには、事業所側にも複数の条件があります。手続きを始める前に確認しましょう。

対象となる施設・事業所の種類

受け入れが認められているのは、介護保険法に基づく以下の施設・事業所です。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
  • 通所介護・通所リハビリテーション
  • 訪問介護事業所(2025年4月〜、条件あり)
  • その他介護保険法の指定を受けた事業所

病院や診療所内での配置は認められていません。施設種別が対象かどうかを事前に確認してください。

1号特定技能外国人支援計画の策定(10項目)

雇用にあたり事業所は、以下10項目の支援を実施する計画を策定する義務があります。

  1. 事前ガイダンスの実施
  2. 出入国の際の送迎
  3. 住居の確保と生活契約の補助
  4. 生活オリエンテーション(銀行・医療機関・行政手続きなど)
  5. 日本語学習機会の提供
  6. 相談・苦情への対応体制の整備
  7. 日本人との交流促進活動の支援
  8. 転職支援(自発的離職時)
  9. 定期的な面談と行政機関への通報
  10. 本国との連絡手段の確保

支援計画の実施を登録支援機関に委託することもできます。自社での対応が難しい場合は登録支援機関の活用を検討してください。

分野別協議会への加入

最初の受け入れから4か月以内に、厚生労働省所管の「介護分野特定技能協議会」へ加入する義務があります。加入後は協議会が定める基準を守り、必要な情報を提供しなければなりません。

また、受け入れ人数の上限は「事業所の日本人介護職員等の総数と同数まで」という同等人数要件があります。たとえば日本人が常勤換算で20人いれば、特定技能外国人も最大20人まで受け入れられます。

【2025年4月〜】訪問介護が解禁された

2025年4月から、特定技能外国人が訪問系サービス(訪問介護・訪問入浴介護など)にも従事できるようになりました。制度が始まって以来、6年越しで実現した業務範囲の拡大です。

解禁の背景と受け入れ条件

訪問介護はこれまで、利用者宅への単独訪問に伴う安全確保の観点から外国人の従事が制限されていました。厚生労働省の令和6年度調査で訪問介護事業所の83.4%が人手不足と回答したことを受け、一定の要件のもとで解禁されました。

解禁後に訪問介護に従事させるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 日本語能力がJLPT N3相当以上であること
  • 介護職員初任者研修修了以上の資格を保有していること
  • 在留中に6か月以上の介護業務経験があること
  • 事業所が「訪問介護特定技能受入対応事業所」として届け出ていること

注意点

訪問介護が解禁されたとはいえ、全員が即日対応できるわけではありません。日本語能力・資格・経験の3つの条件を個別に確認する必要があります。

また利用者側への事前説明と同意取得、緊急時の連絡体制整備など、事業所側の対応も求められます。制度の詳細は厚生労働省の最新ガイドラインを確認してください。

採用の流れと費用の目安

特定技能「介護」の採用は、国内在住者と海外在住者でプロセスが異なります。海外在住者の場合、内定から就労開始まで6か月以上かかるケースもあります。

採用プロセスの流れ

【国内在住者(技能実習修了者など)の場合】

  1. 求人・マッチング(人材紹介会社や求人媒体を活用)
  2. 面接・内定
  3. 在留資格変更申請(処理期間の目安:1〜3か月)
  4. 変更許可後に就労開始

【海外在住者の場合】

  1. 現地エージェントを通じたマッチング
  2. 面接・内定・雇用契約締結
  3. 在留資格認定証明書の申請(処理期間の目安:1〜3か月)
  4. 現地でのビザ申請・発給
  5. 入国・就労開始

費用の内訳と目安

費用は採用ルートや支援体制によってかなり開きがあります。1人あたりの目安は以下のとおり。

費用項目 目安金額
紹介料(人材紹介会社) 20〜60万円
送出手数料(海外エージェント費用) 0〜30万円
登録支援機関への月額費用 2〜5万円/月
住居確保費用(礼金・敷金等) 10〜30万円
在留資格申請等の書類費用 5〜15万円

初期費用の合計は1人あたり30〜80万円が一般的な相場です。人材紹介会社によっては早期退職時の返戻制度(6か月以内の退職で一部返金など)を設けているケースもあります。契約前に条件を確認しておきましょう。

メリットと注意点

受け入れ側のメリット

  • 技能実習と違い単独夜勤に対応できる
  • 在留期間の更新に上限がなく、長期雇用の見通しを立てやすい(1号は通算5年)
  • 技能評価試験合格者は採用後すぐ通常業務に入れる
  • 技能実習修了者を試験なしで雇用継続できるルートがある
  • 2025年4月〜は訪問介護にも対応できる(要件を満たす場合)

受け入れ前に確認すべき注意点

  • 転職が可能なため、賃金・労働環境の水準が定着率に直結する
  • 支援計画の義務があるため、技能実習より管理コストが高くなるケースがある
  • 特定技能2号への移行(家族帯同・在留無期限)には介護福祉士国家試験の合格が必要
  • 受け入れ人数の上限は日本人職員総数と同数まで(同等人数要件)
  • 送出し国によって受け入れに関する二国間協定の遵守義務がある

よくある質問

特定技能「介護」の外国人は夜勤に入れますか?
特定技能1号の外国人は単独での夜勤が可能です。技能実習では原則不可とされていましたが、特定技能は即戦力就労を前提とした設計のため、夜勤を含む通常シフトに組み込めます。

特定技能1号と技能実習、どちらが採用しやすいですか?
手続きの複雑さでいえば、特定技能のほうがシンプルです。技能実習は監理団体の介在が必須で、管理コストが積み上がりやすい。自社で技能実習生を育てているなら、そのまま特定技能へ移行するのがいちばん合理的です。

登録支援機関は必ず利用しないといけませんか?
必須ではありません。事業所が自ら支援計画を実施できる体制を整えていれば、登録支援機関を使わずに対応できます。ただし10項目の支援義務を自社でカバーするには専任の担当者が必要です。はじめて受け入れる場合は、登録支援機関への委託が現実的な選択肢になります。

2026年に特定技能「介護」で変わったことはありますか?
2026年1月実施の第38回介護福祉士国家試験から「パート合格制度」が導入されました。全科目一括合格に届かなくても、各科目で合格かつ総合80%以上を超えれば在留期間を最大1年延長できます。試験対策中の特定技能外国人にとって、より安定的な就労継続が可能になっています。

特定技能「介護」は何人まで採用できますか?
事業所で働く日本人介護職員等の総数と同数まで受け入れられます(同等人数要件)。たとえば常勤換算で日本人が20人いれば、特定技能外国人も最大20人まで採用できます。

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