特定技能「自動車運送業」とは?要件・試験・採用の流れを解説【2026年版】

特定技能「自動車運送業」は2024年12月に運用が始まった在留資格で、トラック・バス・タクシーのドライバー職に外国人を採用できます。5年間で最大2万4,500人の受け入れを見込む新制度で、深刻なドライバー不足への対応策として設けられました。

制度の仕組みから採用フロー・注意点まで、実務担当者向けに整理しました。

最終更新 2026年4月29日

合同会社エドミール代表社員 武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ600名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人剤の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。 保有有資格:申請等取次者、外国人雇用管理士

プロフィール詳細

特定技能「自動車運送業」とは

制度設置の背景

2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用されました。「2024年問題」です。1人のドライバーが担える仕事量が減り、現場の人手不足はさらに加速しています。

国土交通省の推計では、2030年度には全国で約36万人のドライバーが不足するとされています。高齢化と若手離れが重なり、業界全体で人材確保が喫緊の課題になっていました。

そこで政府は2024年3月に特定技能の対象分野へ「自動車運送業」を追加し、同年12月から運用を開始しました。

受け入れ上限と特定技能2号の現状

受け入れられるのは特定技能1号のみです。2026年4月時点では特定技能2号はまだ設定されていません。

5年間の受け入れ上限は2万4,500人で、区分別の内訳は以下のとおりです。

  • トラック運転者:2万2,000人
  • タクシー運転者:1,500人
  • バス運転者:1,000人

特定技能2号が設定されれば在留期間の上限がなくなりますが、現時点で設定のめどは公表されていません。

対象職種と従事できる業務

自動車運送業分野は「トラック運転者」「バス運転者」「タクシー運転者」の3区分です。区分によって必要な免許・試験・研修の内容が変わります。

トラック運転者

貨物自動車を運転して荷物を運ぶ業務です。車両の大きさに応じて普通・準中型・中型・大型免許のいずれかが必要で、荷積み・荷降ろしなどの付随作業も業務に含まれます。

バス運転者

路線バス・高速バス・貸切バスを運転して旅客を運ぶ業務です。大型第二種免許が必要で、新任運転者研修の修了も求められます。乗降補助や運行記録の管理も業務の範囲です。

タクシー運転者

タクシーを運転して旅客を目的地まで送る業務です。普通第二種免許に加え、接遇研修の修了が必要です。日常点検・清掃も業務に含まれます。

外国人が取得するための要件

特定技能1号を取得するには「日本語能力」「技能試験」「日本の運転免許」の3つを満たす必要があります。

日本語能力

JLPT(日本語能力試験)N4以上、またはJFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)の合格が必要です。N4は日常会話が理解できるレベルで、他の特定技能分野と同水準に設定されています。

技能試験

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)が実施する「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格する必要があります。試験は区分ごとに内容が異なります。

区分 主な試験内容 受験形式
トラック運転者 道路交通法・安全運転・貨物取扱 CBT方式・出張方式
バス運転者 道路交通法・安全運転・旅客接遇 CBT方式・出張方式
タクシー運転者 道路交通法・安全運転・接遇・地理知識 CBT方式・出張方式

CBT試験は2024年時点で20言語に対応しており、海外在住の外国人も受験できます。国内での出張試験も定期的に実施されています。

日本の運転免許

就労には、区分に応じた日本の運転免許が必要です。

区分 必要な運転免許
トラック運転者 普通・準中型・中型・大型免許(車両種別による)
バス運転者 大型第二種免許
タクシー運転者 普通第二種免許

外国の運転免許を持っている場合は「外免切替」制度を使えます。ただし対象国・免許の種類が定められており、2025年10月以降に手続き要件の一部が変更されています。最新の手続きは各都道府県の運転免許試験場で確認してください。

日本の免許をまだ持っていない場合は、「特定活動」在留資格を使って国内で取得する方法もあります。

受け入れ企業が満たすべき要件

自動車運送業分野特定技能協議会への加入

受け入れ企業は国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が義務です。期限は雇用開始後4ヶ月以内。入ると制度の最新情報が届き、他の受け入れ機関とも連携しやすくなります。雇用後すぐに手続きを始めておくのが現実的です。

事業許可の保有

道路運送法または貨物自動車運送事業法に基づく事業許可を取得した事業者であることが前提です。事業停止中・許可取り消し中の事業者は受け入れできません。

働きやすい職場認証・安全性優良認定

区分によって求められる認証・認定が異なります。

  • バス・タクシー事業者は「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証)」の取得または申請中であることが必要
  • トラック事業者は「安全性優良事業所認定(Gマーク)」か「働きやすい職場認証」の取得が必要

特定技能外国人への支援体制

特定技能1号の外国人には、法律で定められた10項目の支援を行う義務があります。日本語学習支援・生活相談・行政手続きの補助などです。自社で対応するか、登録支援機関に委託するかを選べます。

採用の流れ

受け入れまでの手順は、大きく次のとおりです。

  1. 候補者の選定(海外募集・国内在留者・他分野技能実習修了者)
  2. 技能試験・日本語試験の受験と合格
  3. 日本の運転免許の取得(未取得の場合)
  4. 雇用条件の提示・雇用契約の締結
  5. 在留資格の申請(海外在留者は認定証明書交付申請、国内在留者は変更申請)
  6. 入国・就労開始
  7. 支援計画の実施
  8. 協議会への加入(雇用開始後4ヶ月以内)

特定活動(特定自動車運送業準備)の活用

日本の運転免許を持っていない外国人が、免許取得や新任研修を目的として日本に在留できる仕組みが「特定活動(特定自動車運送業準備)」です。雇用予定の企業がサポートしながら入国し、免許取得・研修を経て特定技能1号への移行を目指します。

区分 特定活動の上限期間
トラック運転者 6ヶ月
バス運転者 1年
タクシー運転者 1年

期間内に免許が取れなかった場合は、延長が原則認められず帰国が必要です。免許取得にかかる費用と期間は、余裕を持って計画に組み込んでください。

受け入れ時の注意点

日本語コミュニケーションの準備

日本語要件はN4ですが、実務では配車指示・荷主対応・緊急時の連絡など、日本語が必要な場面が多くあります。やさしい日本語で書いたマニュアルや業務用語リストを受け入れ前から用意しておくと、現場でのトラブルを減らせます。

外国人が「わからない」と言い出しやすい雰囲気の職場をつくることも、受け入れ準備の一つです。

日本人と同等以上の報酬・待遇

特定技能外国人には、日本人と同等以上の報酬・労働条件を提供することが法律で定められています。同等要件を下回った場合、在留資格の更新が認められないケースがあります。

登録支援機関との関係

自社での支援体制が難しい場合は、登録支援機関への委託が選択肢になります。ただし委託後も、雇用主としての責任は企業側にあります。委託先任せにせず、定期的に外国人の状況を確認し、問題があれば早めに動くことが必要です。

よくある質問

特定技能「自動車運送業」で働ける期間はどのくらいですか?
特定技能1号は最長5年で、1年単位で更新します。2026年4月時点では特定技能2号が設定されていないため、2号への移行はできません。将来的に2号が追加されれば在留期間の上限がなくなる見込みです。

技能実習修了者は特定技能「自動車運送業」に移行できますか?
自動車運送業は技能実習の対象外のため、技能実習からの直接移行はできません。ただし、他分野で技能実習を修了した外国人が、技能試験・日本語試験・免許の要件を満たせば取得することは可能です。

特定活動期間中に運転免許が取れなかった場合はどうなりますか?
原則として在留期間の延長は認められず、帰国が必要です。受け入れ計画を立てる際は、免許取得にかかる期間と費用を余裕を持って見積もることをおすすめします。

協議会にはいつまでに加入すればよいですか?
雇用開始後4ヶ月以内に加入が必要です。遅れると在留資格の更新に影響する場合があるため、雇用後すぐに手続きを始めることをおすすめします。

外国の運転免許は日本の免許に切り替えられますか?
外国免許を日本の免許に切り替える「外免切替」制度があります。対象になる国と免許の種類は限られており、2025年10月以降に手続き要件の一部が変更されています。最新の情報は各都道府県の運転免許試験場または警察庁のウェブサイトで確認してください。

まとめ

特定技能「自動車運送業」は2024年12月に運用が始まった新しい在留資格です。国土交通省の試算では2030年度に約36万人のドライバー不足が見込まれており、外国人採用は業界の現実的な選択肢になっています。

3区分それぞれで免許・試験・研修の要件が異なり、協議会加入・認証取得・支援体制の整備も並行して進める必要があります。手続きは複雑で、要件の変更もあります。在留資格申請は行政書士や登録支援機関などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

MORE美編集チーム

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