特定技能と技能実習の違い7つを比較|2027年廃止を踏まえた選び方

特定技能と技能実習は、制度の目的・在留期間・転職の可否など7つの点で明確に異なります。どちらを選ぶかは採用コストや人材定着に直接影響します。

技能実習制度は2027年(令和9年)に廃止が決定し、「育成就労」への移行が進んでいます。2027年以降の外国人採用をどう設計するか、制度変更の要点とあわせて整理します。

最終更新 2026年4月29日

合同会社エドミール代表社員 武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ600名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人剤の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。 保有有資格:申請等取次者、外国人雇用管理士

プロフィール詳細

特定技能と技能実習の違い|比較表で一覧チェック

項目 特定技能 技能実習
制度の目的 国内の人手不足解消 開発途上国への技術移転(国際貢献)
在留期間(1号) 最長5年(更新あり) 最長5年
在留期間の上限 特定技能2号:上限なし 上位資格への移行なし
転職・転籍 同一業種内なら可能 原則禁止
家族帯同 1号:不可 / 2号:可 不可
受け入れ方法 直接雇用または登録支援機関 監理団体を通じた雇用(必須)
技能・日本語要件 試験合格が必要 入国時の要件なし
今後の見通し 継続・拡充の方針 2027年廃止・育成就労へ移行

特定技能とは?制度の概要をおさらい

特定技能は2019年(平成31年)4月に創設された在留資格です。深刻な人手不足を背景に、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的としています。

「1号」と「2号」の2段階があります。1号は最長5年・12の特定産業分野が対象です。2号は更新制限がなく、配偶者・子どもとの帯同も認められます。

特定技能1号の対象12分野

2024年時点での対象分野は以下のとおりです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

特定技能2号は建設・造船・舶用工業など一部分野が対象で、在留期間の上限がなく、永住権申請の道も開けます。

特定技能を取得するための条件

特定技能の在留資格を得るには、技能試験と日本語試験の両方に合格する必要があります。日本語の基準はJLPT N4以上またはJFT-Basicです。

技能実習2号を良好に修了した外国人は試験が免除されます。このルートは「技能実習から特定技能へのステップアップ」として実務上よく使われています。

技能実習とは?2027年廃止・育成就労への移行ポイント

技能実習制度は1993年(平成5年)に創設されました。本来の目的は「開発途上国の人材育成を通じた国際貢献」で、労働力確保のための制度ではありません。

技能実習が2027年に廃止される背景

実態として多くの企業が労働力として使っており、制度の目的と運用の乖離が長年問題視されてきました。深刻な人権侵害事案も相次ぎ、国際社会からの批判も続いていました。

2024年(令和6年)、育成就労制度を定めた改正入管法が成立しました。技能実習は2027年(令和9年)をめどに廃止となります。

新制度「育成就労」が技能実習と違う点

育成就労は外国人材の育成と就労を目的とした制度です。技能実習との主な違いは3点です。

  • 在留期間は最長3年。修了後は特定技能1号へ移行できる
  • 一定条件を満たせば、同一業種内での転籍が認められる
  • 「労働者の人権保護」と「特定技能1号への育成」が制度の柱として明記された

入国から5年以上を連続したキャリアとして設計できるのは、技能実習にはなかった仕組みです。

特定技能と技能実習の違い7つを詳しく解説

①制度の目的

特定技能は「国内の人手不足解消」を目的とした就労資格です。技能実習の目的は「開発途上国への技術移転」で、法律上は労働力確保のための制度ではありません。

目的が異なるため、受け入れ手続き・監督体制・必要な帳票管理も大きく変わります。

②在留期間と更新の上限

特定技能1号は最長5年、2号に移行すれば更新回数の上限はありません。技能実習は最長5年で、それ以上の在留延長は原則として認められません。

長期間同じ人材に働いてもらいたい場合、特定技能2号への移行を見据えた採用設計が有効です。

③転職・転籍の可否

特定技能は、同一の特定産業分野内であれば転職が可能です。技能実習は原則として転職が禁止されており、企業を変えるには入管への届け出・手続きが別途必要です。

待遇や職場環境を改善している企業は特定技能人材を引き留めやすく、そうでない企業は転職リスクが生じます。

④対象業種・職種の範囲

特定技能は12の特定産業分野が対象で、技能実習も製造業・農業・介護など多くの職種が対象です。ただし分野の設定方法・許可単位が異なります。

自社の業種・職種が対象に含まれるかどうかは、申請前に必ず確認してください。

⑤受け入れ要件・費用の違い

技能実習は監理団体(協同組合等)を必ず経由します。管理費・入国前後の教育費を含めると、初期費用は1人あたり50〜80万円程度になるケースが多いです。

特定技能は、登録支援機関の利用か直接雇用かを企業が選べます。直接雇用なら監理費がかからずコストを抑えられます。ただし支援計画の策定・実施が義務なので、初めての受け入れでは登録支援機関の利用が現実的です。

⑥受け入れ人数の制限

技能実習には常勤職員数に応じた人数枠があります(常勤301人以上で最大40人など)。特定技能にも分野別の受け入れ上限があり、分野によっては採用できる人数に制限がかかります。

⑦家族帯同の可否

技能実習・特定技能1号ともに、家族帯同は原則として認められません。特定技能2号では、要件を満たせば配偶者と子の帯同が可能です。長期定着を想定するなら、2号への移行を前提にした採用設計が現実的です。

企業はどちらを選ぶべきか?

「今すぐ動ける人材が必要か」「一から育てる体制があるか」「コストをどう見るか」この3軸で整理すると判断しやすいです。

特定技能が向いているケース

  • すぐに現場で動ける人材が必要な場合
  • 特定技能2号への移行を見据えて長期定着を狙う場合
  • 監理団体への依存を減らしてコストを下げたい場合
  • 受け入れ経験があり、社内でサポート体制を組める場合

育成就労(旧技能実習)が向いているケース

  • 特定技能試験に合格する前の段階から採用したい場合
  • 日本語力・技能が低くても一から育てられる体制がある場合
  • 監理団体のサポートを受けながら初めて外国人採用に挑む場合

「育成就労で入国→3年後に特定技能1号に移行」という流れは、外国人材の長期活躍を設計する上で有効な選択肢です。特定技能試験の合格を早めるための日本語教育を入国前から支援している企業では、移行後の定着率が上がっています。

2027年廃止を踏まえた企業の対応策

技能実習制度は2027年に廃止されます。現在進行中のプログラムについては、移行措置の適用期間内での対応が必要です。在留資格の切り替えや監理体制の見直しは、早めに監理団体・行政書士に確認しておくと安心です。

まとめ

特定技能と技能実習の最大の違いは「制度の目的」にあります。即戦力採用と長期定着なら特定技能、基礎から育成するなら育成就労。2027年の技能実習廃止を前に、採用設計を今のうちに見直しておく価値はあります。

制度の実態として、技能実習2号を修了した外国人が試験免除で特定技能1号に移行するルートはすでに定着しており、製造業・農業などの分野では「技能実習→特定技能のキャリアパス」を前提とした採用設計が主流になりつつあります。育成就労制度の施行後も、このキャリアパスの流れは引き継がれる予定です。2027年の移行を前に、現在技能実習中の外国人がいる企業は特定技能1号への切り替えスケジュールを早めに確認しておくことをお勧めします。

在留資格の選択・受け入れ体制の構築は手続きが複雑です。個別のケースについては、入管法を専門とする行政書士や登録支援機関に相談してみてください。

※本記事は情報提供を目的としており、個別の在留資格申請に関する法律・行政手続きの代替ではありません。具体的な手続きは専門家にご確認ください。

技能実習から特定技能に移行するにはどうすればいいですか?
技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除されます。在留資格変更許可申請を出入国在留管理庁に提出し、審査を経て特定技能1号に移行できます。手続きは登録支援機関や行政書士に依頼するのが一般的です。

技能実習生は2027年以降も雇用を継続できますか?
移行措置が設けられる予定で、現在技能実習中の外国人は一定の経過措置のもとで在留資格を維持できます。ただし新規の技能実習受け入れは終了します。2027年以降は「育成就労」または「特定技能」での受け入れに切り替わります。

特定技能の受け入れ費用はどのくらいかかりますか?
登録支援機関を使う場合、月額2〜5万円程度の支援費が発生します。採用エージェント費用は国内採用で10〜30万円程度、海外からの呼び寄せでは50万円以上になるケースもあります。受け入れ方法や国籍によって変わるため、複数の支援機関から見積もりを取るのが確実です。

MORE美編集チーム

MORE美の編集方針に基づき、記事の企画・執筆支援およびファクトチェックを担当しています。

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