特定技能とは?制度の仕組み・1号2号の違い・対象19分野を解説【2026年版】

特定技能とは、深刻な労働力不足を補うために2019年4月に新設された在留資格制度です。一定の技能と日本語能力を持つ外国人を即戦力として受け入れられ、2026年1月時点で対象は介護・建設・農業など19分野に拡大しています。

受け入れには企業・外国人双方に満たすべき要件があります。1号と2号では在留期間や家族帯同の可否が大きく異なるため、採用方針を決める前に制度の全体像を把握しておくことが欠かせません。

最終更新 2026年4月29日

合同会社エドミール代表社員 武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ600名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人剤の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。 保有有資格:申請等取次者、外国人雇用管理士

プロフィール詳細

特定技能とは?制度の全体像

特定技能は、「出入国管理及び難民認定法」の改正によって2019年4月に新設された在留資格です。従来の技能実習とは異なり、最初から労働力確保を目的として設計されました。

対象は国が指定する特定産業分野に限られており、対象外の業種では受け入れができません。外国人本人も、分野ごとの技能試験と日本語試験をクリアした人だけが取得できます。

制度が生まれた背景

日本の生産年齢人口は長期にわたって減少が続いています。国土交通省の試算によると、2050年には総人口が現在より約3,300万人減少するとされており、製造・農業・介護などを中心に深刻な人手不足が続いています。

こうした状況への対応として設けられたのが特定技能です。令和6年(2024年)5月末時点で、特定技能1号の在留外国人数は約24万人に達しています(出入国在留管理庁統計)。制度創設から5年あまりで利用が急速に広がっており、今後も対象分野の拡大や手続きの簡素化が続く見込みです。

特定技能外国人を受け入れる企業のメリット

特定技能には、企業にとって次のようなメリットがあります。

  • 即戦力採用:一定の技能・日本語能力が試験によって保証されている
  • 採用ルートの多様化:技能実習からの移行・国内在住者・海外採用の3つの経路が使える
  • 就労制限がほぼない:付与された分野でフルタイム就労が可能
  • 同一分野内での転職が認められている

日本人従業員と同等の報酬・待遇が義務付けられている点も、技能実習とは大きく異なります。

特定技能1号と2号の違い

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。求められる技能水準だけでなく、在留条件も大きく異なります。

特定技能1号 特定技能2号
技能水準 相当程度の知識・経験 熟練した技能
在留期間 通算5年(上限あり) 更新制・上限なし
家族帯同 原則不可 可(配偶者・子)
対象分野数 19分野 11分野(2026年4月時点)
日本語試験 必要(免除あり) 不要

1号の要件と在留期間

特定技能1号は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人が対象です。在留期間は通算5年が上限で、1年・6か月・4か月単位の更新制となっています。家族の帯同は原則として認められていません。

取得には、対象分野ごとの技能評価試験と日本語能力試験(N4相当以上)への合格が必要です。ただし技能実習2号を良好に修了した外国人は、両試験が免除されます。

2号の要件と家族帯同

特定技能2号は「熟練した技能」を持つ外国人が対象で、1号より高い技能水準が求められます。在留期間の更新に上限がなく、配偶者や子との帯同も認められているため、長期定着が期待できます。

2026年4月時点で2号が使えるのは建設・造船・溶接・自動車整備など11分野です。各分野が定める技能評価試験(2号水準)への合格が必要で、日本語試験は不要です。

多くの企業が1号からスタートする理由

実務上、ほとんどの企業は1号から始めます。2号は高い技能水準が前提なうえ、対象分野が1号の19に対して11と限られているためです。

技能実習修了者や海外採用者は通常1号からスタートし、習熟度に応じて2号を目指す流れになります。採用計画の段階では「1号前提」で動くのが現実的です。

特定技能と技能実習・育成就労の違い

「技能実習と何が違うの?」は、特定技能の導入を検討する企業からよく出てくる疑問です。2つの制度は目的が根本的に異なります。

技能実習との主な違い

技能実習は開発途上国への技術移転・国際貢献を目的とした制度で、労働力確保を主眼に置いた制度ではありません。一方、特定技能は最初から即戦力確保を目的として設計されています。

技能実習 特定技能1号
制度の目的 技術移転・国際貢献 人手不足分野への即戦力確保
転職 原則不可 同一分野内は可
在留期間 最長5年(3号まで) 通算5年
受け入れ方式 監理団体経由が大半 直接採用または登録支援機関経由

なお、2027年を目途に技能実習制度は廃止され「育成就労制度」へ移行する予定です。育成就労は、3年間の育成期間を経て特定技能1号へ移行することを前提とした制度で、特定技能との連携がより密接になります。

技能実習から特定技能への移行

技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能評価試験・日本語試験が免除されたまま特定技能1号に移行できます。すでに技能実習で関わっている外国人をそのまま雇い続けられるケースも多く、採用コストを抑えやすくなります。

ただし、移行できるのは技能実習の職種と特定技能の分野が対応している場合のみです。移行可否の一覧は出入国在留管理庁の公式ページで確認してください。

対象19分野の一覧(2026年版)

特定技能が使えるのは、国が指定した「特定産業分野」のみです。2026年1月時点で計19分野に拡大しています。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業(2024年3月追加)
  • 鉄道(2024年3月追加)
  • 林業(2024年3月追加)
  • 木材産業(2024年3月追加)
  • リネンサプライ(2026年1月閣議決定)
  • 物流倉庫(2026年1月閣議決定)
  • 資源循環(2026年1月閣議決定)

自社の事業が上記19分野に含まれているかどうかが、特定技能活用の前提です。対象外の分野では、特定技能在留資格を持つ外国人を雇用できません。

2026年に新たに追加された3分野

2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加されました。リネンサプライは宿泊・医療機関向けのリネン管理業務、物流倉庫は倉庫内作業全般が対象です。

いずれも試験整備が進む段階のため、実際の受け入れ開始時期や技能評価試験の詳細は出入国在留管理庁の最新情報で随時確認してください。

特定技能2号が使える分野

2026年4月時点で特定技能2号が使えるのは、以下の11分野です。

  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • ビルクリーニング
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業

介護は特定技能2号の対象外です。介護分野では別途「介護」在留資格による長期在留が可能なため、制度設計上2号が設けられていません。

受け入れのための条件・要件

企業(受入れ機関)側の要件

特定技能外国人を受け入れる企業は「特定技能所属機関」と呼ばれ、以下を満たす必要があります。

  • 対象19分野の特定産業分野に該当する事業者であること
  • 外国人と直接雇用契約(フルタイム原則)を締結すること
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 義務的支援を自社で実施するか、登録支援機関に委託すること
  • 分野ごとの協議会に加入すること
  • 過去5年以内に入管法違反で罰則を受けていないこと

支援業務を自社で行うには、担当者の配置や生活支援・日本語学習機会の提供体制が必要です。実務上は登録支援機関に委託する企業が約8割を占めています(三菱UFJリサーチ&コンサルティング、令和2年度調査)。

外国人側の要件(技能試験・日本語試験)

外国人が特定技能1号を取得するためには、2つの要件をクリアする必要があります。

  1. 技能評価試験:分野ごとに設けられた技能試験に合格する
  2. 日本語能力試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する

技能実習2号を良好に修了している場合は、両試験が免除されます。各分野の試験は海外でも受験できるものが多く、現地採用から特定技能移行まで一貫したルートが整ってきています。

登録支援機関とは?役割と選び方

登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって義務的支援を行う機関です。出入国在留管理庁への登録制で、全国に数千機関が存在します。

義務的支援の主な内容は次のとおりです。

  • 入国前の生活ガイダンスの提供
  • 空港等への送迎(必要な場合)
  • 住居確保・銀行口座開設等のサポート
  • 生活に必要な行政手続きの補助
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情対応窓口の設置
  • 日本人との交流機会の確保
  • 定期面談と出入国在留管理庁への報告

委託費用は外国人1人あたり月2〜4万円が目安です。機関を選ぶ際は、自社分野での支援実績と、対応できる外国語の種類を確認するとよいでしょう。

受入れの流れとかかる費用

受入れまでの6ステップ

  1. 受け入れ方針の決定:採用ルート(技能実習移行・国内在住・海外採用)を決める
  2. 登録支援機関の選定:委託するか自社対応するかを検討し、委託先を探す
  3. 外国人の確保・内定:人材紹介会社やハローワーク等を通じて候補者を探す
  4. 雇用契約の締結:外国人と直接「特定技能雇用契約」を結ぶ
  5. 在留資格の申請:地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請または変更申請を行う
  6. 受け入れ開始:入国後(または資格変更後)に支援計画にもとづく支援をスタートする

申請から許可まで、標準処理期間はおよそ1〜3か月です。海外採用では在外公館での手続きが加わるため、さらに時間がかかります。スケジュールは余裕をもって組んでください。

費用の目安

費用項目 目安金額
人材紹介手数料 10〜50万円(ルートによる)
登録支援機関委託費 月2〜4万円 × 在留期間
行政書士報酬(申請代行) 5〜15万円程度
入国後サポート費 住居手配・生活用品支援等(数万円〜)
給与水準 月給18〜25万円程度(業種・地域により差あり)

技能実習と比べると、監理団体費用がかからない分トータルコストを抑えられるケースがあります。ただし初年度は申請代行費やサポート費が加わるため、費用全体を事前に試算しておくことをおすすめします。

2026年の制度改正ポイント

2026年は特定技能制度に複数の改正が加わっています。主なポイントを整理します。

  • 対象分野が19分野へ拡大:2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加されました
  • 1号の「通算5年」に例外規定:2025年10月の法改正で、一定条件下では通算5年を超えた更新が可能になりました
  • 事務手続きの簡素化:2026年4月より、申請書類の削減・オンライン申請の拡充が予定されています
  • 育成就労との連携強化:2027年施行予定の育成就労制度と、特定技能1号への移行ルートが整備されます

制度は毎年改正が加わります。最新情報は出入国在留管理庁の公式ページで定期的に確認してください。

よくある質問

特定技能と技能実習は同時に使えますか?
同一の外国人が特定技能と技能実習を同時に持つことはできません。技能実習2号を修了した後、在留資格を「特定技能1号」に切り替えることが可能です。2つは並行して使う制度ではなく、移行の関係にあります。

特定技能外国人は転職できますか?
特定技能1号外国人は、同一の特定産業分野内での転職が認められています。転職先でも受入れ機関の要件を満たす必要があり、在留資格の変更申請(または就労資格証明書の交付申請)が原則として必要です。

特定技能1号の在留期間は5年を超えて延長できますか?
通算5年が原則の上限ですが、2025年10月の改正で一定の条件(2号試験の受験中など)を満たす場合は例外的に5年を超える更新が可能になりました。詳しい要件は出入国在留管理庁の最新通知を確認してください。

登録支援機関は必ず利用しなければなりませんか?
義務ではありません。支援業務を自社で行う体制があれば、登録支援機関を利用しなくても構いません。ただし支援要件は複雑で、実務上は約8割の企業が委託しています。はじめて受け入れる企業では、登録支援機関への委託が手続きの確実性を高めます。

特定技能外国人の家族を日本に呼べますか?
特定技能1号では原則として家族帯同は認められていません。特定技能2号であれば配偶者と子の帯同が可能です。家族帯同を前提とする場合は、2号取得を長期的に見据えた育成計画を検討してください。

まとめ

特定技能は2019年に創設された即戦力採用のための在留資格で、2026年時点で対象は19分野にまで拡大しています。毎年制度改正が加わっており、手続きの簡素化や新分野追加が続いています。

受け入れを検討する企業が押さえておくべきポイントをまとめます。

  • 1号と2号で在留期間・家族帯同条件が異なる。多くの企業は1号からスタート
  • 対象は19分野。自社が該当するかを最初に確認する
  • 企業は義務的支援の実施が必要。約8割は登録支援機関に委託している
  • 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号に移行できる
  • 2026年は手続き簡素化・新3分野追加など、制度が使いやすくなる改正が続いている

在留資格の申請手続きや個別の要件確認には専門的な判断が必要です。はじめて受け入れを検討する場合は、登録支援機関や行政書士への相談を検討してください。

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