特定技能とは?制度の仕組み・1号2号の違い・対象19分野を解説【2026年版】

特定技能とは?制度の仕組み・1号2号の違い・対象19分野を解説【2026年版】

特定技能とは、深刻な労働力不足を補うために2019年4月に新設された在留資格制度です。一定の技能と日本語能力を持つ外国人を即戦力として受け入れられ、制度上の対象は2026年1月の閣議決定で19分野に拡大しています。リネンサプライは2026年6月から在留資格申請が可能です。物流倉庫の特定技能1号評価試験は2026年10月26日から出張試験方式の申請受付が始まっています(CBT方式は2026年12月開始を目途。在留資格の受入れ開始とは別です。国土交通省・日本海事協会)。資源循環は2027年の受け入れ開始を目指しています。

受け入れには企業・外国人双方に満たすべき要件があります。1号と2号では在留期間や家族帯同の可否が大きく異なるため、採用方針を決める前に制度の全体像を把握しておくことが欠かせません。

公開日 2026年4月29日
最終更新日 2026年10月26日

武藤 拓矢

武藤 拓矢

2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ700名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人材の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。

プロフィール詳細

特定技能とは?制度の全体像

特定技能は、「出入国管理及び難民認定法」の改正によって2019年4月に新設された在留資格です。従来の技能実習とは異なり、最初から労働力確保を目的として設計されました。

対象は国が指定する特定産業分野に限られており、対象外の業種では受け入れができません。外国人本人も、分野ごとの技能試験と日本語試験をクリアした人だけが取得できます。

制度が生まれた背景

日本では人口減少が見込まれており、各産業で人材確保が課題となっています。

特定技能の受け入れ状況は、出入国在留管理庁が公表する基準日別の統計で確認してください。

特定技能外国人を受け入れる企業のメリット

特定技能には、企業にとって次のようなメリットがあります。

  • 即戦力採用:一定の技能・日本語能力が試験等で一定の水準が確認される
  • 採用ルートの多様化:技能実習からの移行・国内在住者・海外採用の3つの経路が使える
  • 就労制限がほぼない:付与された分野でフルタイム就労が可能
  • 同一分野内での転職が認められている

日本人従業員と同等の報酬・待遇が義務付けられている点も、技能実習とは大きく異なります。

特定技能1号と2号の違い

特定技能には「1号」と「2号」の2種類があります。求められる技能水準だけでなく、在留条件も大きく異なります。

特定技能1号 特定技能2号
技能水準 相当程度の知識・経験 熟練した技能
在留期間 通算5年(上限あり) 更新制・上限なし
家族帯同 原則不可 可(配偶者・子)
対象分野数 19分野(新分野の開始時期は分野ごとに異なる) 11分野(2026年4月時点)
日本語試験 必要(免除あり) 分野ごとの要件を確認

1号の要件と在留期間

特定技能1号は「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人が対象です。在留期間は原則として通算5年までで、1回の許可では3年を超えない範囲で法務大臣が個々に期間を指定します。家族の帯同は原則として認められていません。

取得には、対象分野ごとの技能評価試験と日本語要件を満たす必要があります。N4相当以上を基本としますが、分野・業務区分によってN3以上などの要件もあります。ただし対応する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した外国人は、両試験が免除されます。

2号の要件と家族帯同

特定技能2号は「熟練した技能」を持つ外国人が対象で、1号より高い技能水準が求められます。在留期間の更新に上限がなく、配偶者や子との帯同も認められているため、長期定着が期待できます。

2026年4月時点で2号が使えるのは建設・造船・舶用工業・自動車整備など11分野です。各分野が定める技能評価試験(2号水準)への合格が必要で、日本語要件は分野で異なります。各分野の現行案内を確認してください。

多くの企業が1号からスタートする理由

実務上、ほとんどの企業は1号から始めます。2号は高い技能水準が前提なうえ、対象分野が1号より限られているためです(制度上の1号は19分野、2号は11分野。新分野の受け入れ開始状況は個別に確認)。

技能実習修了者や海外採用者は通常1号からスタートし、習熟度に応じて2号を目指す流れになります。採用計画の段階では「1号前提」で動くのが現実的です。

特定技能と技能実習・育成就労の違い

「技能実習と何が違うの?」は、特定技能の導入を検討する企業からよく出てくる疑問です。2つの制度は目的が根本的に異なります。

技能実習との主な違い

技能実習は開発途上国への技術移転・国際貢献を目的とした制度で、労働力確保を主眼に置いた制度ではありません。一方、特定技能は最初から即戦力確保を目的として設計されています。

技能実習 特定技能1号
制度の目的 技術移転・国際貢献 人手不足分野への即戦力確保
転職 原則不可 同一分野内は可
在留期間 最長5年(3号まで) 通算5年
受け入れ方式 監理団体経由が大半 直接採用または登録支援機関経由

なお、育成就労制度は2027年4月1日に施行され、技能実習制度からの移行が進められます。育成就労は、3年間の育成期間を経て特定技能1号へ移行することを前提とした制度で、特定技能との連携がより密接になります。

技能実習から特定技能への移行

対応する職種・作業の技能実習2号を良好に修了した外国人は、技能評価試験・日本語試験が免除されたまま特定技能1号に移行できます。すでに技能実習で関わっている外国人をそのまま雇い続けられるケースも多く、採用コストを抑えやすくなります。

ただし、移行できるのは技能実習の職種と特定技能の分野が対応している場合のみです。移行可否の一覧は出入国在留管理庁の公式ページで確認してください。

対象分野の一覧(16分野+新3分野)

特定技能が使えるのは、国が指定した「特定産業分野」のみです。制度上は2026年1月23日の閣議決定で計19分野ですが、従来の16分野に加え、新分野の受け入れ準備が進んでいます。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業(2024年3月追加)
  • 鉄道(2024年3月追加)
  • 林業(2024年3月追加)
  • 木材産業(2024年3月追加)
  • リネンサプライ(2026年6月から在留資格申請が可能)
  • 物流倉庫(2026年10月26日から特定技能1号評価試験の出張試験方式で申請受付開始。CBT方式は2026年12月開始を目途。在留資格の受入れ開始は別)
  • 資源循環(2027年の受け入れ開始を目指して準備中)

自社の事業が上記分野に含まれているかどうかが、特定技能活用の前提です。制度上の対象は19分野です。リネンサプライは2026年6月から在留資格申請が可能です。物流倉庫の特定技能1号評価試験は2026年10月26日から出張試験方式の申請受付が始まっています(CBT方式は2026年12月開始を目途。在留資格の受入れ開始とは別です)。資源循環は2027年の受け入れ開始を目指しています。対象外の分野では、特定技能在留資格を持つ外国人を雇用できません。

追加された新3分野の受け入れ開始状況

2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が制度上追加されました。リネンサプライは宿泊・医療機関向けのリネン管理業務、物流倉庫は倉庫内作業全般、資源循環は廃棄物の選別・中間処理などが対象です。

制度上の対象は19分野です。リネンサプライは2026年6月から在留資格申請が可能です。物流倉庫の特定技能1号評価試験は2026年10月26日から出張試験方式の申請受付が始まっています(CBT方式は2026年12月開始を目途。在留資格の受入れ開始とは別です)。資源循環は2027年の受け入れ開始を目指しています。試験日程や詳細は出入国在留管理庁・所管省庁の最新情報で随時確認してください。

特定技能2号が使える分野

2026年4月時点で特定技能2号が使えるのは、以下の11分野です。

  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業

介護は特定技能2号の対象外です。介護分野では別途「介護」在留資格による長期在留が可能なため、制度設計上2号が設けられていません。

受け入れのための条件・要件

企業(受入れ機関)側の要件

特定技能外国人を受け入れる企業は「特定技能所属機関」と呼ばれ、以下を満たす必要があります。

  • 対象の特定産業分野に該当する事業者であること
  • 外国人と雇用契約(フルタイム原則)を締結すること。雇用形態は原則直接雇用で、農業・漁業では要件を満たす派遣も認められます
  • 日本人と同等以上の報酬を支払うこと
  • 義務的支援を自社で実施するか、登録支援機関に委託すること
  • 分野ごとの協議会に加入すること
  • 出入国・労働関係法令に関する一定の違反や欠格事由に該当しないこと

支援業務を自社で行うには支援体制基準を満たす必要があります。登録支援機関に支援の全部を委託する方法もあります。

外国人側の要件(技能試験・日本語試験)

外国人が特定技能1号を取得するためには、2つの要件をクリアする必要があります。

  1. 技能評価試験:分野ごとに設けられた技能試験に合格する
  2. 日本語能力試験:日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格する

対応する職種・作業の技能実習2号を良好に修了している場合は、両試験が免除されます。各分野の試験は海外でも受験できるものが多く、現地採用から特定技能移行まで一貫したルートが整ってきています。

登録支援機関とは?役割と選び方

登録支援機関とは、受け入れ企業に代わって義務的支援を行う機関です。出入国在留管理庁への登録制で、登録状況は公式登録簿で確認できます。

義務的支援の主な内容は次のとおりです。

  • 入国前の生活ガイダンスの提供
  • 空港等への送迎(必要な場合)
  • 住居確保・銀行口座開設等のサポート
  • 生活に必要な行政手続きの補助
  • 日本語学習機会の提供
  • 相談・苦情対応窓口の設置
  • 日本人との交流機会の確保
  • 定期面談と出入国在留管理庁への報告

費用は支援内容・人数・対応言語・契約条件によって異なります。初期費用と月額料金、追加費用の内訳を見積もりで確認してください。

受入れの流れとかかる費用

受入れまでの6ステップ

  1. 受け入れ方針の決定:採用ルート(技能実習移行・国内在住・海外採用)を決める
  2. 登録支援機関の選定:委託するか自社対応するかを検討し、委託先を探す
  3. 外国人の確保・内定:人材紹介会社やハローワーク等を通じて候補者を探す
  4. 雇用契約の締結:外国人と直接「特定技能雇用契約」を結ぶ
  5. 在留資格の申請:地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請または変更申請を行う
  6. 受け入れ開始:入国後(または資格変更後)に支援計画にもとづく支援をスタートする

申請の種類や審査状況によって処理期間は異なります。標準処理期間は出入国在留管理庁の現行案内を確認し、渡航準備等の期間と分けて計画してください。

費用の目安

費用項目 目安金額
人材紹介手数料 項目・契約内容に応じて確認
登録支援機関委託費 項目・契約内容に応じて確認
行政書士報酬(申請代行) 項目・契約内容に応じて確認
入国後サポート費 住居手配・生活用品支援等の実費を確認
給与水準 項目・契約内容に応じて確認

技能実習と比べると、監理団体費用がかからない分トータルコストを抑えられるケースがあります。ただし初年度は申請代行費やサポート費が加わるため、費用全体を事前に試算しておくことをおすすめします。

2026年の制度改正ポイント

2026年は特定技能制度に複数の改正が加わっています。主なポイントを整理します。

  • 対象分野が制度上19分野へ拡大:2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が追加。受け入れ開始時期は分野ごとに異なる
  • 1号の「通算5年」に延長特例:介護分野では、通算5年目の介護福祉士国家試験のパート合格など、所定の要件を満たす場合に在留期間を延長できる措置があります
  • 育成就労との連携強化:2027年4月1日施行の育成就労制度と、特定技能1号への移行ルートが整備されます

制度は毎年改正が加わります。最新情報は出入国在留管理庁の公式ページで定期的に確認してください。

よくある質問

特定技能と技能実習は同時に使えますか?
同一の外国人が特定技能と技能実習を同時に持つことはできません。技能実習2号を修了した後、在留資格を「特定技能1号」に切り替えることが可能です。2つは並行して使う制度ではなく、移行の関係にあります。
特定技能外国人は転職できますか?
転職は可能ですが、勤務先や業務を変える前に、出入国在留管理庁の現行手続を確認してください。届出と在留資格の許可手続は区別して準備しましょう。
特定技能1号の在留期間は5年を超えて延長できますか?
通算5年が原則の上限ですが、所定の要件を満たす場合の延長特例があります。例えば介護分野では、通算5年目の介護福祉士国家試験で1パート以上に合格し、合格基準点の8割以上の得点があることなどが条件です。第38回試験では52点以上が基準とされています。対象や手続きは、厚生労働省・出入国在留管理庁の最新案内を確認してください。
登録支援機関は必ず利用しなければなりませんか?
支援業務を自社で行うには支援体制基準を満たす必要があります。登録支援機関に支援の全部を委託する方法もあります。
特定技能外国人の家族を日本に呼べますか?
特定技能1号では原則として家族帯同は認められていません。特定技能2号であれば配偶者と子の帯同が可能です。家族帯同を前提とする場合は、2号取得を長期的に見据えた育成計画を検討してください。

まとめ

特定技能は2019年に創設された即戦力採用のための在留資格で、制度上の対象は19分野にまで拡大しています(新分野の開始時期は分野ごとに異なります)。毎年制度改正が加わっており、新分野追加などの見直しが行われています。

受け入れを検討する企業が押さえておくべきポイントをまとめます。

  • 1号と2号で在留期間・家族帯同条件が異なる。多くの企業は1号からスタート
  • 制度上は19分野。新分野の受け入れ開始状況は個別に確認する。自社が該当するかを最初に確認する
  • 企業は義務的支援の実施が必要。支援体制基準を満たせない場合は登録支援機関への全部委託を検討する
  • 対応する職種・作業の技能実習2号良好修了者は試験免除で特定技能1号に移行できる
  • 新3分野の開始時期や申請手続きは、分野ごとの最新の公式案内で確認する

在留資格の申請手続きや個別の要件確認には専門的な判断が必要です。はじめて受け入れを検討する場合は、登録支援機関や行政書士への相談を検討してください。

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