
特定技能の義務的支援とは?10項目の内容と実施ポイントを解説【2026年版】
特定技能の職種は2026年4月時点で16分野あり、介護や建設・飲食料品製造業など幅広い産業で外国人材の受け入れが可能です。2024年に自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が新設され、受け入れ対象はさらに広がっています。
受け入れ企業が業務範囲を誤ると法令違反につながるため、分野ごとの業務区分を正確に把握することが欠かせません。全16分野の仕事内容を一覧表で整理し、1号・2号の違い・試験要件・2026年以降の動向もあわせて解説します。
最終更新 2026年4月29日
武藤 拓矢
2018年より外国人材支援の業界に飛び込み、技能実習・特定技能合わせてのべ600名の支援実績を持つ、外国人材支援のスペシャリスト。特定技能外国人剤の定着に定評がある合同会社エドミールの代表を務める。 保有有資格:申請等取次者、外国人雇用管理士
特定技能は2019年4月に施行された在留資格で、深刻な人手不足が続く産業分野への外国人就労を認める制度です。出入国在留管理庁の公表データによると、2025年6月末時点の特定技能在留者数は約33万6,000人にのぼり、制度開始から6年で急速に普及しています。
従事できる分野と業務区分は法令で定められており、指定外の業務に就かせることは認められません。採用時点で「どの分野の、どの業務区分に該当するか」を確認することが前提です。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算5年まで | 上限なし(更新制) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可 |
| 永住申請 | 2号移行後に条件を満たせば申請可 | 在留年数が要件に達すれば申請可 |
| 対象分野数 | 16分野 | 11分野(介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業を除く) |
1号は業務習得段階、2号は熟練技能を持つ段階として位置づけられています。2号は在留期間の更新に上限がなく、長期雇用を前提にした採用計画が立てやすくなります。
2026年4月時点の16分野を所管省庁と2号対象の有無でまとめました。
| 番号 | 分野名 | 所管省庁 | 2号対象 |
|---|---|---|---|
| 1 | 介護 | 厚生労働省 | × |
| 2 | ビルクリーニング | 厚生労働省 | ○ |
| 3 | 工業製品製造業 | 経済産業省 | ○ |
| 4 | 建設 | 国土交通省 | ○ |
| 5 | 造船・舶用工業 | 国土交通省 | ○ |
| 6 | 自動車整備 | 国土交通省 | ○ |
| 7 | 航空 | 国土交通省 | ○ |
| 8 | 宿泊 | 国土交通省 | ○ |
| 9 | 農業 | 農林水産省 | ○ |
| 10 | 漁業 | 農林水産省 | ○ |
| 11 | 飲食料品製造業 | 農林水産省 | ○ |
| 12 | 外食業 | 農林水産省 | ○ |
| 13 | 自動車運送業 | 国土交通省 | ×(※) |
| 14 | 鉄道 | 国土交通省 | ×(※) |
| 15 | 林業 | 農林水産省 | ×(※) |
| 16 | 木材産業 | 農林水産省 | ×(※) |
(※)2024年追加の4分野は2号対象について検討段階にあります(2026年4月時点)。
分野ごとに認められる業務区分が法令で定められています。業務区分外の作業に従事させた場合は法令違反となるため、採用前に必ず確認してください。
訪問介護を除く介護施設(特別養護老人ホーム・デイサービス等)での身体介護や生活援助が対象です。2024年の制度改正で、一定の経験を積んだ外国人材は訪問系サービスにも従事できるようになりました。
日本語能力はN4以上(または介護日本語評価試験の合格)が必要です。介護分野は他の分野と比べて日本語要件が高く設定されています。
オフィスビルや商業施設の清掃作業が対象です。単純な掃除だけでなく、洗浄剤の選定や機器の操作など専門知識が必要な業務も含まれます。
2024年4月に「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」の3分野が統合・再編されました。業務区分は9つで、複数区分にまたがる採用も認められています。
試験は業務区分ごとに設定されているため、複数区分で採用する場合はそれぞれの試験合格が必要です。
土木・建築・ライフラインなど建設業全般が対象です。受け入れには建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられており、受け入れ人数に上限が設けられている点が他分野と異なります。
船舶の建造・修理・部品製造が対象です。溶接・塗装・機械加工など6つの業務区分が設定されています。
自動車の点検・整備・修理が対象で、道路運送車両法に定める各種整備作業が含まれます。「自動車整備特定技能評価試験」または技能検定3級(自動車整備)の合格が要件です。
空港でのグランドハンドリングと航空機整備の2区分が対象です。旅客・貨物の地上作業から機体の整備補助まで、空港運営を支える業務全般が含まれます。
ホテル・旅館でのフロント業務・館内案内・清掃などが対象です。対象施設は風俗営業法の適用を受けない宿泊施設に限られています。
耕種農業と畜産農業の2区分があります。農業は特定技能で数少ない「派遣形態での就労が認められる分野」のひとつで、季節的な繁忙への対応がしやすい点が特徴です。
漁業(沿岸・沖合・遠洋)と養殖業の2区分が対象です。農業と同様に派遣形態での就労が認められています。
特定技能の中で受け入れ人数が最多の分野です。出入国在留管理庁の2025年6月末時点のデータでは、この分野だけで約10万人の在留者がいます。食品の製造・加工・安全衛生管理が1つの業務区分にまとめられており、食品製造業全般が対象となっています。
レストラン・ファストフード・居酒屋など外食産業全般が対象です。調理・接客・店舗管理の業務を横断的に担当できます。
2024年3月に新設された分野で、バス・タクシー・トラックの運転業務が対象です。就労には日本の運転免許(第二種免許含む)の取得が必要で、採用から就労開始までリードタイムが長くなる点に注意が必要です。
2024年3月に新設された分野で、鉄道インフラの整備・保守から旅客案内まで4区分が設定されています。
森林の育成から素材生産まで林業全般が対象です。過疎地域での就業になるケースが多く、住居の確保など生活環境の整備が採用成功を左右します。
製材・木材加工・合板・集成材の製造・加工が対象です。林業分野と関連が深く、一次加工から製品製造まで幅広い工程が含まれます。
特定技能1号を取得するには、技能要件と日本語要件の2つを満たす必要があります。
介護分野のみ、上記に加えて「介護日本語評価試験」への合格が必要です。試験の実施頻度や会場は分野によって異なるため、所管省庁の公式サイトで確認してください。
技能実習2号を良好に修了した場合、技能試験・日本語試験がともに免除されます。同一分野・同一職種であれば書類手続きのみで特定技能1号に移行できるため、既存の技能実習生を継続雇用する方法として活用できます。
ただし、技能実習の「職種・作業」が特定技能の「業務区分」に対応しているかどうかは、所管省庁の対照表で個別に確認が必要です。自動的に対応しているわけではない点に注意してください。
2号移行には、対象分野の「特定技能2号評価試験」合格と一定の実務実績が必要です。2026年4月時点で2号対象は11分野(介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の5分野を除く)です。
2号取得後は在留期間の更新回数に上限がなくなり、要件を満たせば家族帯同も認められます。「採用したい分野が2号非対応だった」と後から気づくケースもあるため、採用前に2号対象かどうかも確認しておくと安心です。
2026年1月23日の閣議決定により、以下の3分野が特定技能の対象に追加される予定です。受け入れ開始時期は分野ごとに異なります。
| 追加予定分野 | 業務概要 |
|---|---|
| 物流倉庫管理 | 倉庫内のピッキング・仕分け・入出庫管理 |
| リネンサプライ | ホテル・病院向けリネン類の洗濯・仕分け・配送 |
| 資源循環 | 廃棄物の収集・運搬・選別・リサイクル処理 |
これらが正式に施行されると、対象分野は計19分野に拡大します。試験情報や受け入れ開始時期は所管省庁の公式サイトで最新情報を確認してください。
特定技能外国人を採用する企業には、法令上いくつかの義務が発生します。なかでも協議会加入の失念は受け入れ経験がある企業でも起きやすいため、採用を決めたら早めに手続きを進めてください。
ほぼすべての分野で、受け入れ企業は所管省庁が設置する「協議会」への加入が義務付けられています。受け入れ開始から4か月以内が目安となるケースが多く、未加入のまま在留期間更新を迎えるとトラブルになります。加入手続きは受け入れ決定後、早めに着手してください。
特定技能1号の受け入れ企業は、生活・就労を支援する10項目の義務的支援を実施しなければなりません。
自社での対応が難しい場合は、出入国在留管理庁の登録支援機関検索を活用して外部委託できます。
建設分野のみ、受け入れ人数に上限が設けられています(特定技能・特定活動(建設就労者)の合計が常勤労働者数を超えない)。採用計画を立てる際に事前確認が必要です。
特定技能の職種(分野)は2026年4月時点で16分野あり、2027年以降は3分野の追加で最大19分野に拡大する見通しです。受け入れ開始の前に確認すべき最低限のポイントは、①対象分野・業務区分の一致確認、②協議会への加入、③10の義務的支援体制の整備の3点です。
制度改正が続いているため、採用計画を立てる際は出入国在留管理庁や所管省庁の最新情報を都度確認してください。法令解釈や個別手続きは、入管法に詳しい行政書士など専門家に相談するのが確実です。
特定技能の手続きで失敗しやすいのは、協議会加入のタイミングを逃すことと、業務区分を曖昧なまま採用を進めてしまうことです。最初に要件を丁寧に整理しておくだけで、採用後のトラブルはかなり減ります。
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