副業に取り組んでいる方で、もし「損益通算」という言葉を知らなければ、税金を払いすぎている可能性があります。
また、正しい手続きを踏むことで、過去5年分を遡って払いすぎている税金を取り戻せる可能性があります。
今回は、「既に副業に取り組んでいる方」あるいは「これから副業に取り組む方」が知らないと大損する税金の基本的な知識「損益通算」についてお伝えしようと思います。
余計な税金を払わずに済むように、損益通算をしっかり覚えましょう。
特定の所得で発生した損失と、その他所得の利益を相殺することができる制度が「損益通算」です。
所得とはいわゆる”利益(収入-経費)”を指す言葉で、所得には大きく10種類の所得区分があります。
この10種類の取得区分の中で、「事業所得」「不動産所得」「譲渡所得」「山林所得」の4つの所得に関しては、赤字が出た場合はその他所得の黒字部分と相殺することができるのです。
「不動産投資が節税になる」というのも損益通算の仕組みを活用した税金対策で、不動産の購入費用を不動産所得の”赤字”としてみなし、給与所得の黒字部分と相殺して給与所得に対する税金を抑える仕組みです。
副業によって稼いだお金は事業所得に分類されるため、副業の収益が赤字になった場合も給与所得と相殺することができるのです。
一時期話題になった「仮想通貨」で得た所得は原則「雑所得」に区分分けされるため、例え仮想通貨の取引で赤字になったとしても給与と相殺することはできません。
「副業が赤字になったら生活が苦しくなるよ!」と考えてしまった方は、経費の範囲の理解が間違っている可能性があります。
副業の経費は、副業に関わることであれば基本的には全て経費になります。
「え?こんなものも経費になるの?」と思われそうな経費を5つほどご紹介させて頂きます。
勘定科目 | 詳細 |
---|---|
地代家賃 | 現在住んでいる家の家賃。 |
旅費交通費 | 移動のための電車賃やバス代。 |
会議費 | 仕事で打ち合わせのために使用したカフェのコーヒー代・食事代。 |
通信費 | 日常的に使用している携帯代やwifi代。 |
新聞図書費 | 仕事のために購入した本。 |
※私生活にも関わる「家賃」や「携帯代」等は全額経費にすることはできず、「按分比率」が適用されます。
家でも副業の活動を行うのであれば家賃も経費として認められ、また携帯で連絡を行うのであれば携帯代も当然経費として扱うことができます。
副業は日々の生活全てが仕事に繋がる可能性があるため、経費にすることができます。
副業をしながら普通に生活しているだけでも年間50万円近くの経費になるため、副業で赤字になることは決して特別なことではありません。
「なるほど!それなら損益通算やるぞ!」と思った方のために、損益通算をするうえで欠かせない3つの作業についてお伝えします。
損益通算を活用して余分に支払った税金を取り戻すためには、下記2つの作業を必ず行なってください。
税務署に経費を証明するために最も重要な資料となり、領収書がないと経費として認められません。
領収書は還付申告時には提出は求められませんが、税務署から万が一呼び出しを受けた時に、経費の証明として提出する義務があります。
呼び出しを受けた際に領収書がなかった場合、一度損益通算によって還付された税金を返金するだけでなく、「無申告課税」や「延滞税」といった追加の税金を納めることになる可能性があります。
税務署に呼び出されることはほとんどありませんが、税務調査で確定申告を最大過去5年間分まで遡ることができるため、たった10万円の払い忘れでも20万円近くの税金を余分に収める必要が出てくる可能性があります。
万が一に備えて、税法にのっとり過去5年間分の領収書はファイル分けして保管しておきましょう。
「帳簿」という言葉を聞くと小難しそうな書類に思われますが、実際は下記5項目をエクセルなどにまとめるだけで構いません。
帳簿の作成方法に関しては決まりはありませんが、税務署の担当者から「これはなんですか?」と指摘された時に答えられる範囲で整理しておきましょう。
「取引の詳細」の項目に、取引した場所や取引先などを記載しておくことは望ましいですね。
還付申告は申告年度から5年以内であればいつ行なっても問題ありません。
税金を納めるための確定申告に関しては、2月中旬から3月中旬までの「確定申告期間」に行わないと、「延滞税」と「無申告課税」が課せられてしまい余計な税金を納める羽目になります。
しかし、還付申告の場合は納める税金がないため、どんなに提出が遅れても「延滞税」や「無申告課税」が課せられることはありません。
ただし、確定申告同様、過去5年以上遡って申告することはできませんので、どんなに還付申告が遅れようとも5年以内には行ってください。
副業が当たり前の時代だからこそ、今後は会社に任せるのではなく個人で金融リテラシーをつける必要が出てきます。
正しい知識をつけるだけで、生涯所得は雲泥の差が生まれます。
面倒くさがらず、しっかりとお金と向き合いましょう。
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