公開日:2019年03月24日 / 最終更新日:2019年05月19日
養育期間標準報酬月額特例申立書とは?将来貰える厚生年金が増える制度

子どもが生まれると、子育てに時間を使うため、今まで通りに働くことが難しく、短時間社員等の措置で、給与が下がるケースが多いと思います。
給与が下がると標準報酬月額が下がり、結果として厚生年金保険料が下がり、将来貰える老齢厚生年金も下がります。
しかし、実は子どもが3歳未満の間は、将来貰える老齢厚生年金を下がるの防ぐことができる制度があることをご存知でしょうか?
今回は、9割の人が知らない、子育て世代に大きなメリットがある「養育期間標準報酬月額特例申立書」について見ていきたいと思います。
養育期間標準報酬月額特例とは
養育期間標準報酬月額特例とは、日本年金機構が行っている制度で、正式名称は「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」です。
制度の内容としては、育児によって老齢厚生年金の受給額が下がることを防ぐ目的で、子どもが3歳未満の間、何かしらの理由で給与が下がり、標準報酬月額が下がった場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額が適用させる制度です。
養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置の提出書類で必要となってくるのが養育期間標準報酬月額特例申立書になります。
制度名称 | 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置 |
---|---|
対象条件 | 3歳未満の子どもがいる親 |
対象期間 | 3歳到達日の翌日の月の前月まで |
提出時期 | |
提出書類 |
1.戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書 2.住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの) |
養育期間標準報酬月額特例によるメリット金額
実際に、養育期間標準報酬月額特例の制度を活用することによってどの程度お金が浮くかを実際に計算してみましょう。
老齢厚生年金の受給額は、
- 報酬比例年金額
- 経過的加算
- 加給年金額
に分けられるのですが、この中で養育期間標準報酬月額特例に関係するのは報酬比例年金額のみです。
報酬比例年金額は被保険者期間によって2つに分けられます。
- 平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの被保険者期間の月数
- 平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の被保険者期間の月数
※「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」の違いは、年3回以下の賞与を含めるかどうかという違いです。
平成15年4月以降で計算した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額の30万円で、子どもが生まれてから20万円に減給した場合の将来の老齢厚生年金受給額は、約3,611年/年の差が生まれました。
平成37年以降、老齢厚生年金の受給は65歳以降に引き上げられるため、85歳まで受給した場合、養育期間標準報酬月額特例を活用することで72,220円のメリットが生まれます。
書類を提出するだけで、将来貰えるお金が7万円増えるのであれば、やらない手はないですね。
養育期間標準報酬月額特例の対象となるケース
養育期間標準報酬月額特例ですが、父親も対象であり、いかなる理由があろうと標準報酬月額が下がれば対象となります。
一例として、下記のケースでも対象となります。
- 子どもが生まれて引っ越しをし、「住宅手当」と「通勤手当」が変動した場合
- 会社の営業不振により給与カット
養育期間標準報酬月額特例の手続きの流れ
養育期間標準報酬月額特例の手続きの流れは至ってシンプルで
- 申請に必要書類をそろえる
- 事業所に提出
です。
ただし、1つデメリットを言うならば、必要書類をそろえることが少しだけ面倒です。
必要書類は下記の通りです。
- 戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
(申出者と子の身分関係および子の生年月日を証明できるもの) - 住民票(コピー不可・個人番号の記載がないもの)
※申出者と子が同居していることを確認できるもの
※提出日から遡って90日以内に発行されたものをご提出ください。
※養育特例の要件に該当した日に同居が確認できるものをご提出ください。 - 厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届
上記のいずれも市役所で取得できますが、市区町村によって必要書類が異なるケースがあるため、事前に確認しましょう。
郵送でも対応可能です。
養育期間標準報酬月額特例申立書の提出方法
何かしらの理由で、子どもが生まれる前の標準報酬月額よりも生まれた後が下がった場合、速やかに必要書類を揃えて事業所に提出しましょう。
提出が遅れた場合でも、最大2年は遡ることができます。
養育期間標準報酬月額特例申立書の注意事項
養育期間標準報酬月額特例申立書を提出する上で、いくつかの注意事項をお伝えしておきます。
会社が自動で手続きをしてくれるの?
いえ、ご自身で申し出ないと手続きは行ってくれません。
複数事業所で働いていた場合は?
それぞれの事業所ごとに提出が必要です。